本事業は、出版業界が直面している様々な課題解決に向け、JPOが運営している出版情報関連システムの基盤強化を行うものである。具体的には、以下の3つの重点項目に焦点を当て、JPOが保有する書誌情報データベースの改修、機能追加、新システムの開発に取り組んだ。具体的な実施内容及び効果は、以下のとおりである。

１）読書バリアフリーに向けた対応促進
① 出版書誌データベース「Books」サイトのアクセシブルブック検索機能向上 視覚障害者等が、求める情報へ容易にアクセスできるよう、大活字本、点字・DAISY図書、音声読み上げ(TTS)対応作品に特化した検索機能を追加。特に、視覚障害者との実証実験を重視し、サイト内の読み上げ時の聞き易さや検索絞り込み機能を最適化した。タブの移動をなくし読み上げ部分の階層化なども含めユーザビリティ向上に努めた。
② 後天的な視覚障害者にも使いやすいプロトタイプの電子書籍ビューア開発 ケガや疾病による後天的な視覚障害者にも使いやすいビューアを目指し、利用者が多いスマートフォンを想定し、インストールが不要なブラウザ上で動作するビューアを開発した。また、視覚障害者との実証実験を通じて操作性や情報提供の方式を改善。より使いやすいビューアの開発に注力した。

２）AI技術による出版情報データベースの高度化 AI技術を活用し、出版情報登録センター（JPRO）の書誌と国立国会図書館の書誌を用いて、同一内容のコンテンツの名寄せ、単行本と文庫等のいわゆる「異版」の紐づけを行った。また出版社で紐づけが難しい他社での刊行との名寄せを実現し、これにより、既刊の多くのタイトルがヒモ付いたことで、出版社の負担を軽減しつつ、データベースを高度化することができた。

３）雑誌物流効率化への情報システム構築 日本出版取次協会との連携により、出版社からの雑誌の搬入日申請、取次会社との情報共有を出版情報登録センター（JPRO）経由で可能にするシステムを構築した。正式に雑誌コードが決まっていない場合にも配慮し、仮付番登録機能も開発した。